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「ユーザーがもっとも電話したいのは21時から2時」──制限のないコミュニケーションを実現するウィルコム

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/mobile/articles/0701/23/news093.html

ウィルコムが1月22日に発表した新端末ラインアップと料金プランの内容変更は、ユーザーが制限のないコミュニケーションを楽しめるよう配慮して生まれたという。PHSという独自の強みを持つウィルコムの戦略とは。

2007年01月23日 23時59分 更新

ウィルコム代表取締役社長の喜久川正樹氏 ウィルコムは1月22日、2007年春商戦向けの音声端末、データ通信カード、そして「ファミリーパック」と「ウィルコム定額プラン 法人割引」の新料金体系を発表した(1月22日の記事参照)。

 冒頭で挨拶に立ったウィルコム代表取締役社長の喜久川正樹氏は、「音声定額を始めてから約2年。定額サービスを開始したことで初めてユーザーの本当のニーズを把握できてきた。豊かなモバイルコミュニケーションを実現するには、時間に制約されないサービス性が必要」と話し、コンシューマーユーザーは夜間帯、特に21時から翌2時までの時間帯での通話ニーズが高いというウィルコムの調査結果を示した。

従量課金で利用していたユーザーが定額プランに加入すると、全体的にトラフィックは増えるが、特に夜間帯に70倍もの増加が見られるという

 従量課金の料金プランを利用していたユーザーが、定額プラン加入前に利用していたウィルコム網内宛ての音声通話トラフィックと、そのユーザーが定額プラン加入後に利用したウィルコム網内での音声通話トラフィックを比較すると、圧倒的に多いのは21時から1時。全通話時間の55%が21時から2時の間に集中しており、ピーク時のトラフィックは従量課金の70倍にも上る。また昼の12時前後と17時前後という、ビジネスタイムと密接にかかわる時間帯もトラフィックが15倍程度増えている。

 「コンシューマーが夜間帯に通話したいというニーズと、ビジネスユーザーが昼間も心おきなく通話したいというニーズが、要望としてもっとも大きなものだ。定額サービスを利用するのは、そもそもたくさん通話をしたい人。そういった人たちにストレスなく使っていただくためには、制約がないサービスを提供することが重要となる。だからこそ、我々は制限なしに“24時間いつでも無料”を実現した」(喜久川氏)

 こうして場所や時間、距離、データ量といった制限をなくしたウィルコムの定額サービスをさらに強化するため、ユーザーの声を反映させ開発したのが2007年春の新端末と新しい割引プランだ。

ユーザーのニーズに応える「家族」「中小企業」向けの割引プラン

 個人ユーザー向けには、ウィルコムに限らず、070から始まる番号にかける通話がすべて定額になる「070定額」や、追加料金を払えばそのほかの通話も割安になる「070以外もお得な通話パック」などを提供しているウィルコム。しかし、「家族でもっと気軽に定額プランを使いたい」という声に応えるため、新たに「ファミリーパック」の料金を改定する。従来は3回線以上契約すると、2回線目以降の副回線が2200円に割引されていたが、3月1日以降は3回線以上の契約で全回線の月額利用料が2200円になる。

 さらに070以外もお得な通話パック利用者には、最大60分の無料通話分が余った場合、最大6300円まで無期限に自動繰り越しするサービスを始める。

 また、法人ユーザー向けとして、ウィルコム定額プランを法人名義で10回線以上契約し、請求書をまとめれば、月額料金が2200円になる法人割引を提供しているが、これも自営業やSOHOユーザーなど、小さなビジネスコミュニティでも定額サービスが利用しやすいよう、3月1日からは3回線以上の契約でウィルコム定額プランの法人割引を適用可能にする。

ファミリーパックは3回線以上の契約で全回線の基本料金が月額2200円に。法人割引の適用も10回線から3回線に減らし、手軽に安く利用できるようにする。070以外もお得な通話パックの無料通話は6300円まで無期限で繰り越し可能だ

端末は通話品質の向上と高速化を実現

 割引対象ユーザーの拡大とともにウィルコムが目指したのが、音声通話品質の向上とデータ通信の高速化だ。同社では新たに高度化PHS規格W-OAMを音声端末に搭載することで、これを実現する(1月22日の記事参照)。

 W-OAMは、電波状態に合わせて変調方式を自動選択する適応変調を用いた技術で、すでに2006年2月下旬から導入が進められている。W-OAM導入により、電波状態の悪いところでも安定した通信が保ちやすくなる。逆に電波状態がよければ、変調方式をより高度なものに変えることで、データ通信をより高速に行える(2006年12月の記事参照)。

 音声端末へのW-OAM導入は、電波の届く範囲が広がり、電波の届きにくい場所でも通話しやすくなる、あるいは音声通話が途切れにくくなるというメリットがある(2006年12月の記事参照)。たとえば屋内で通話する際、窓際なら快適な通話ができるものの、ビルの中心部にある階段や窓のない倉庫などでは、電波がほとんど届かず通話もできないケースも考え得るが、W-OAM対応機なら電波の入りにくい場所でも従来より高品質な通話が可能だ。

W-OAMを音声端末に搭載することで、電波状態が悪くても途切れることなく通話が保てるようになる。ウィルコムが実際に実験した結果、従来端末では途中で通話が途切れるような場所でも安定した通話が可能だったという

 データ通信速度は、2007年度には最大800kbpsに達するという。現在発売されているW-OAM対応データ通信カードやW-SIMでは、BPSK/QPSK/8PSKの3段階の適応変調をサポートするが、さらに高度な16QAM/32QAM/64QAMという変調方式に対応し、最大512kbpsでの通信を実現する。現状は、基地局の回線がISDNなので最大通信速度が512kbps止まりとなるが、2007年度以降は順次回線を光IP化することで800kbpsに対応予定だ。この新しいW-OAMは、「W-OAM typeG」という名称で従来のW-OAMとは区別される。今後は変調方式の高度化だけでなく、搬送波を複数利用するマルチRF化も進め、12xや16xで1.6Mbpsを超える通信速度の実現も視野に入れている。

 また「質問される前に」(喜久川氏)と、今後搭載を検討している機能として、「赤外線」「FeliCa」「ウィルコムならではのPCライクな機能」の3つを挙げた。これらの機能は、ウィルコムとして必要性を認識しており、時期は未定ながらもいずれは搭載することになるとした。

W-OAMには新たに64QAM、32QAM、16QAMの変調方式を追加する。電波状態のいい場所でなら、8xで最大512kbpsの通信も可能だ。12xや16xといったマルチRF技術も取り入れ、さらなる高速化を行っていく。赤外線やFeliCa、PCライクな機能も搭載を検討している

ビジネスシーンをにらみ、端末のセキュリティを強化

 コンシューマーユーザーだけでなく、ビジネスシーンでの利用も意識しているウィルコムでは、新端末のセキュリティを強化しているのもポイントだ。

 離れた場所から端末の機能をロックできる「リモートロック」や端末内のデータを削除する「リモート消去」、指紋認証、パスワード認証といった、ビジネスユーザーの関心が高い機能にしっかり対応した。「WX321J」は4項目すべて、「WX320K」と「WX220J」は指紋認証以外の3項目をサポートしている。

 リモートロック機能は、従来は端末側で設定をしていないと利用できなかったが、今後は機能を未設定の場合でも、サービスセンターに電話するだけでロックする「リモートロック代行サービス」を1回525円で提供する。

 サービスだけでなく、より企業での使い勝手を向上させる新たな端末も用意する。1つは松下電器産業が開発した、W-SIM対応の会議用スピーカーホン(1月22日の記事参照)。工事現場などの電話回線がない場所でも、定額で電話会議ができる。また岩崎通信機のW-SIM対応PHSアダプタや、NECマグナスコミュニケーションズの「VoiceWay」も提供。これらをPBX網に接続すれば、会社と出先の営業担当者間の通話も定額にできる。

2007年春モデルには、リモートロック機能、リモート消去機能、パスワード認証を標準搭載。WX321Jには指紋認証も備える。さらに、リモートロックの設定をしていない端末を有償でリモートロックするリモートロック代行サービスも開始する

ビジネスシーンでさらにウィルコム網を使いやすくするデバイスも追加。松下電器産業からW-SIM対応の会議用スピーカーホン、岩崎通信機やNECマグナスコミュニケーションズからはPBX網とウィルコム網を直結するアダプタが登場する

ユーザーの広がりに合わせ、コラボモデルも投入

 「定額制が広く認知されるに従って、ユーザー層に広がりが出てきた」(喜久川氏)ことから、新たにnico.のコラボレーションモデルも投入する(関連記事1、関連記事2)。

タカラトミーの取締役常務執行役員マーケティング統括本部副統括本部長 兼 ネクストトイマーケティング本部長の眞下修氏 黒い子猫のフィギュアがついた大人向けの端末「nico.neco」は、タカラトミーとのコラボレーションモデルだ。白と黒のモノトーンの端末は、従来のマーブルチョコレートのようなポップな端末とは印象が異なる。タカラトミーの取締役常務執行役員マーケティング統括本部副統括本部長 兼 ネクストトイマーケティング本部長の眞下修氏は、「おもちゃ作り、コンテンツ開発力が我々の強み。それを使っていろいろな分野に出ていきたいと考えている。今回は(大株主であり、DDIポケット時代からウィルコムと付き合いのある)インデックスがウィルコムとの間に立ち、ウィルコム端末を共同で作ることになった。遊び心を持った大人向けのキャラクターコンテンツの開発に協力できてよかった」と話した。

ベネトンジャパンの代表取締役社長、矢口健二氏 また世界的なアパレルメーカー、ベネトンとのコラボレーションにより、今までにない独特なカラーリングのnico.も誕生した。ベネトンジャパンの代表取締役社長、矢口健二氏は、「日本では約30年ほど企業活動をしてきたわけだが、その間常に革新的であることを目指してきた。ウィルコムもまた革新性のある、先を見据えたサービスを開発する会社だ。またベネトンは安全、安定といったキーワードで、広告活動などを通して社会貢献してきたが、ウィルコムの安全、安定をいろいろな形で問いかけていく姿勢は弊社の企業理念とマッチしている」と、このコラボレーションの成功に期待を寄せた。

タカラとミートのコラボモデル「nico.neco」とベネトンとのコラボレーションモデル

 喜久川氏は「こういったコラボレーションができるのは、携帯電話キャリアとはビジネススタイルが異なり、水平展開をしているから。またW-SIMの開発により、ハードウェアを低いロット数で作れるようになったのも大きい。カスタマイズが容易に行える」と、W-SIMのメリットをアピールした。


 ウィルコムは今後も大容量・省電力のマイクロセルネットワークという独自の特徴を生かし、“制約のない”サービスとプロダクトを展開していく。そして、法人や取引先、シニア、サークル、家族、友達といった“コミュニティ”を中心に、皆がウィルコムになる利点をアピールし、市場の拡大を目指す。契約者数も早期に500万加入にまで増やす考えだ。

左からウィルコム執行役員副社長 土橋匡氏、タカラトミー取締役常務執行役員 眞下修氏、ウィルコム代表取締役社長喜久川政樹氏、同代表取締役会長 木下龍一氏、ベネトンジャパン代表取締役社長 矢口健二氏、インデックス代表取締役社長小川善美氏、ウィルコム執行役員副社長 近義起氏

         

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