ウィルコムが春商戦に向け攻勢 - 定額プラン拡充し、携帯各社に優位示す
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/01/23/380.html
ウィルコムは、2007年春商戦向けの新PHS端末を発表した。今回の新製品は、すべて高度化通信規格「W-OAM」に対応し、高速化を実現している。また、料金体系を一部改め、複数回線で契約する場合の「ファミリーパック」「ウィルコム定額プラン 法人割引」で3回線以上契約すると、月額料金を一律2,200円/回線とするほか、固定電話、携帯電話に発信する際の「070以外もお得な通話パック」で、当月に使い切れなかった無料通話分を6,300円分まで無期限に自動で繰り越しするサービスも開始する。
定額プラン拡充 - 3回線以上の契約で2,200円/月・端末
「ウィルコム定額プラン」は、ウィルコムや他社PHSなど「070から始まる電話番号」への通話と、携帯電話、パソコンとのEメール送受信が月額料金2,900円で使い放題になるサービス。これまでの料金体系では、複数契約する場合、家族、本人などで「ウィルコム定額プラン」に2台以上契約すると「ファミリーパック」が適用され、1回線目が月額基本使用料2,900円、2回線目以降が月額基本使用料2,200円となっていた。これが、2007年3月1日から、3回線以上契約すると、月額料金がすべての回線で一律月々2,200円の割引料金で利用できる。
さらに、法人名義で「ウィルコム定額プラン」を10回線以上契約、請求書を一本化すると、同コースの月額料金を2,200円に割引する「法人割引き」においては、従来、9台以下の契約の場合、1台目の月額料金が2,900円、2台目以降の月額料金が2,200円とされていた。これを2007年3月1日からは、「3回線以上」の契約でやはり一律2,200円とする。
3人以上の契約は全員が月、2,200円
企業向けも3人以上で一律2,200円
無料通話分6,300円を自動繰り越しする「070以外もお得な通話パック」
「070以外もお得な通話パック」は「ウィルコム定額プラン」専用のオプションサービスで、月額料1,050円で1,260円分の無料通話が含まれており、一般加入電話への通話なら最大60分、携帯電話への通話なら最大48分、米国への通話なら最大40分利用できる。このサービスを利用すると、「ウィルコム定額プラン」に含まれる「070から始まる電話番号への無料通話」に加え、携帯電話、一般加入電話への通話料金ががさらに安くなる。今回、このサービスで、当月に使い切れなかった無料通話分を無期限に6,300円分まで自動で繰り越しするサービスを提供する。
「W-OAM typeG」+基地局間の光化で800kbpsでのデータ通信を実現
同社は、各種通信サービスの高速化、充実化を進めるため、高度化通信規格「W-OAM」に対応した基地局の導入を、通信利用の多い地域から順次展開しているが、2007年春以降、「W-OAM」をさらに高速化させた「W-OAM typeG」の提供を開始する。この規格に準拠した基地局エリア内では、対応端末は8xパケット方式で最大512kbpsの通信速度でのデータ通信が可能になるという。また、電波状態に応じて自動的に変調方式を切り替えることで、通信の安定性向上図る。
これまでの「W-OAM」では、搬送波の位相を変化させることで変調するPSK(Phase Shift Keying: 位相変調方式)を用い、1回の信号で8つの値を伝送する「8PSK(8-Phase Shift Keying)」、4値を伝送する「QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)」、2値を伝送する「BPSK(Binary Phase Shift Keying)」を使用している。
これらに加え、位相変化と振幅変化を組み合わせた、直交振幅変調方式である「QAM(Quadrature Amplitude Modulation)」を採用、1回の信号で64値を伝送する「64QAM(64Quadrature Amplitude Modulation)」、32値を伝送する「32QAM(32Quadrature Amplitude Modulation)」、16値を伝送する「16QAM(16Quadrature Amplitude Modulation)」にも対応している。
同社では基地局間の回線を現行のISDNから、2007年度以降に光ファイバーによるIP網へと順次変更していく意向で、光IP化が進展すれば、「W-OAM typeG」が利用可能な地域では対応端末は「8xパケット通信で約800kbps超のデータ通信が可能になる」としている。
事前設定無しのロックに対応する「リモートロック代行サービス」
また、同社では、端末を紛失した際に「ロック」をかけ、情報漏洩を最小限に防ぐセキュリティサービス「リモートロック」を2005年4月から提供しているが、「リモートロック」のロックなどを代行する「リモートロック代行サービス」を2007年3月上旬から開始する。端末へのリモートロックの事前設定をしていなくても利用可能で、遠隔操作により「電源のON/OFF」と「着信通話」以外の操作を受付けないようにする。サービスの利用料金は、ロック設定1回につき525円。ロック解除は無料。
携帯各社がしのぎを削る中、PHS・ウィルコムは――
同社は2005年以来、音声定額制の採用、よりパソコン化した端末「W-ZERO3」の投入など、世間をあっといわせるような破壊力をもった新兵器を引っ提げて集客力を拡大し、契約者を増やしてきた。2005年1月には300万に満たなかった契約者数は同年末に365万を超え、2006年末で435万9,500にまで上っている。
ただし、11月までは月平均の純増数が5万を上回っていたが、「競争環境が変化した。携帯電話のナンバーポータビリティー制度(MNP)の影響で販売価格が下落し、そのあおりを受けた」(喜久川政樹社長)ことから、11月の純増数は2万5,000弱に減速している。12月には3万7,000にまでもどしたが、かつての勢いは回復していない。
ウィルコムの強力な武器である音声定額制は、制限つきながらソフトバンクも着手しており、料金を巡る携帯電話陣営との競合は厳しさを増している。
今回の施策は、どちらかといえば、料金体系の見直しが主眼であったように感じられる。喜久川社長は「携帯電話とPHSは同じ形状。一般消費者にとっては、見た目で両者の差異を感じるのは難しいだろう。携帯電話は多くの機能をもっているが、ウィルコムは必ず、使いやすい料金とセットで、機能を向上させてきた。この点は携帯電話と大きく異なる」と語る。
また、同社サービスで、通話時間の55%が21~26時に集中していることを示し、「ウィルコムの定額制プランは使ってもらうためのものであり、この時間帯に使って下さいというのではなく、この時間帯に使いたいとの要望に応えるもの」と指摘、時間制限のあるソフトバンクの音声定額制に対しての優位性を強調する。
ウィルコムの喜久川政樹社長
ウィルコムの定額制は「最も使いたい時間」に使えると強調
喜久川社長は「当社は、ホームラン、二塁打、三塁打というような商品を出すこともあるが、今回は単打を積み重ねるようなもの」と話す。定額制を改めて整え、MNPの動乱で浸食された陣地をまずは一歩一歩取り戻していく姿勢のようだ。
ただ、「それではもう、ホームランや二、三塁打を狙わないのかといえば、そういうわけではなく、(そのような商品も)視野には入れている」とも付け加える。今後搭載を検討しているものとして、赤外線を利用した機能、おサイフ機能、さらにパソコン的な機能などを挙げた。