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【ウィルコム展望】堅調に純増したウィルコムの2007年はどうなる!?

http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20070115/120548/

携帯電話会社の影に隠れがちだが、通話定額サービス「ウィルコム定額プラン」を引っさげて順調に好調を持続しているウィルコム。今回は、その2007年を占ってみよう。

■2007年のウィルコムには使いやすい音声機種の発売を期待


 07年3月までに、高度化PHS「W-OAM」にさらに新しい変調方式であるQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)を導入することで、通信速度の高速化を予定するウィルコム。まずは、データ通信用カード端末の新製品で対応予定だが、順次、音声機種なども対応するはずだ。このパワーアップした「W-OAM」の通信速度は、サービス開始当初は最大512Kbps程度となる。これは無線部分のボトルネックではなく、ISDNを利用しているPHS網のバックボーン(基地局間ネットワーク)の影響によるものだ。そのため準備が整い次第、バックボーンのIP化を行うことも予定されている。これによって通信速度は最大800Kbps以上になるとのことだ。

▲ W-OAMによるデータ通信の高速化計画。06年度末(07年3月)までに波長変調方式に64QAMを導入し、8Xパケット方式での無線区間のキャパシティは800Kbps以上となる。さらに、カード型などのデータ通信端末では12Xや16Xパケット方式を導入し、最大通信速度1Mbpsを超えたいとしている。その後も2.5GHz帯の周波数を獲得することで、次世代PHSの導入などを計画している

【画像をクリックすると拡大表示されます】 ▲ 2007年春に新しいQAM変調が導入された後のW-OAMの様子。基地局に近いところから64QAM、32QAM、16QAM、8PSK、QPSK、BPSKというように6種類の変調方式をダイナミックに切り替えて通信することになる。また、通信速度が増大することにより、遅延速度(RTT)の改善も見込まれる

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▲ 基地局回線のIP化。07年春のW-OAMの改良版導入時には、バックボーンとなる基地局間ネットワークがISDNで構築されているため、最大で512Kbpsまでしか出ない。そのため07年以降にバックボーンをIP化し、800Kbps以上の最大通信速度となるように整備を進める予定だ

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 端末については、06年には前述通り、通常の音声機種となる「WXシリーズ」の新機種発表がなかった。06年末時点で新機種発表が近いことを匂わせた発言もしており、07年初頭には1年以上ぶりの新機種が発表される可能性が高い。

 W-SIM対応機種についても、06年のように活発に新機種を投入したい考えのようなので、こちらもW-ZERO3シリーズの後継機種も含めて期待が持たれるところだ。W-ZERO3シリーズの搭載OS「Windows Mobile」の提供元であるマイクロソフトは、07年に日本市場にWindows搭載ケータイを10機種以上出す意向を示している。もちろんこれにはソフトバンクモバイルやNTTドコモなども含まれるが、恐らくウィルコムからも1機種以上は発売されると見られる。

■ 「通話」「Web」には強いが、今後は「メール」の拡充が課題



 サービス面では、W-OAMによるデータ通信の高速化以外には特に大きな計画は発表されていないが、先日には春ごろをめどにメールボックス容量を10Mバイト以上に拡張するなどを含めたeメールサービスの拡充も発表されている。ウィルコムのメールサービスはほかに比べて弱く、サービス強化の最重要課題と言える。

 現在のケータイサービスの3大要素である「通話」「メール」「Web」のうち、ウィルコムは音声定額サービスによる「通話」や、低価格なデータ定額およびフルブラウザによる「Web」において、ある程度の評価を受けている。一方でPOP/SMTPといったパソコンと同じメールを扱える利点があるものの、端末のメールクライアント(アプリ)の使い勝手がいまひとつであることや、送受信の時間が遅いことなど、「メール」機能の評判は決して良くない。せっかくウィルコム定額プランのみで定額で利用できるのに、生かし切れていないというのが実情だ。

 W-OAMにより応答速度の改善もあるようだが、ほかに革新的なことがなければ、送受信速度が劇的に速くなって快適に利用できるとは考えにくい。添付容量など多少の改善はあったものの、03年に登場した初代「AIR-EDGE PHONE」(当時はAirH”PHONE)から基本機能は変化がないのも事実だ。

 ウィルコムの03年以降のメールサービスといえば、W-ZERO3 [es]のライトメールのチャットモードは既存サービスをうまく見せるという点で評価したいが、むしろ06年2月6日~10日における約80時間にわたるメール障害などの印象の方が強い。他社で導入されているデコメ(HTMLメール)も若者を中心に指示されており、ウィルコムでの導入も今後は必須に思われるし、新機種とともにメールサービス拡充は注目ポイントだろう。

■データ通信サービスの競合も2社登場、値下げなどの対抗策も!?



 契約者数については、07年も法人契約やデータ通信サービスに力を入れ、これまで通り堅調に数万単位で純増する計画を持っている。まずは500万契約を目指しているといったところだ。これは個人向けをないがしろにするというわけではなく、06年4月に施行された個人情報保護法や企業の情報漏洩に対するセキュリティ強化の影響により、法人契約やデータ通信サービスの契約数が計画よりうまくいかなかった点にある。逆に、個人契約は予想以上に好調だった。大きな変化がない場合には新機種投入などもあるだろうが、戦略としては口コミ戦略を重視し、現状通り行うといったところだろう。

 データ通信サービスにおいては、07年春にイー・モバイルとip mobileの2社が新規参入してくることも影響するだろう。ウィルコムとしては、これらの2社にユーザーを奪われまいとするより、モバイルデータ通信市場全体を活性化したい考えだと思われる。W-OAMの改良によるさらなる高速化などで競合2社に対抗するはずだが、料金値下げなどほかにも対策があるのか注目したいところだ。

 経営体制においては、純増数の堅調な伸びや営業利益の黒字化といったウィルコム発足当初の目標を達成したとして、DDIポケット時代の05年1月から代表取締役社長に就いていた八剱洋一郎氏が06年10月に退任。DDIポケットからの生え抜きである喜久川政樹氏が社長に就任した。スピード経営によってウィルコムを確実に成長路線に導いた八剱氏から舵取りを引き継いだことで、今後の戦略がどうなるのかも注目だ。ただ、喜久川氏は八剱体制下でも経営企画本部長として経営戦略の中心にいた人物なので、そう大きくは変わらないだろう。

 そのほか、07年中にも株式公開(IPO)が噂されているが、まだ時期は公開されていない。公式には「現在全くの未定である。株主と財務の健全化があるので、どうなるか分からない。IPOにより財務を厚くするといった方向を株主が望めば有り得るだろう」と、06年11月の事業説明会で新しく社長に就任した喜久川氏がコメントしていた。あくまで予測の域を出ないが、順調に契約数を伸ばせれば今年中のIPOは十分に可能性がある。

 ウィルコムは、今年も携帯電話大手3社に負けないくらい話題を振りまいてくれそうな期待が持てる会社だ。果たしてどんな機種が、どんなサービスが飛び出してくるのか楽しみにしたい。

▲ PHSの弱点として挙げられるサービスエリアの問題だが、面積的に一気に拡大するのはなかなか難しい。だが利用頻度の高いところをスポット的に改善することで“体感エリア”を充実していく戦略を取る。具体的には、百貨店・コンビニ・サービスエリア・パーキングエリア・観光・レジャー・道の駅・ゴルフ場などが挙げられる

【画像をクリックすると拡大表示されます】 ▲ 2006年10月に就任した新しいウィルコムの経営陣。中央が新社長の喜久川政樹氏

筆者紹介 memn0ck(めむのっく)

1976年東京生まれ。「めむのっく」はハンドル名。ケータイ・モバイル情報マニアで、小さなデジタルガジェットに目がない。趣味でケータイ・モバイル関連の個人ニュースサイト「memn0ck.com」を運営しているが、日常は白衣を着た理系野郎をやっている兼業ライター。

         

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