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MVNO解禁の衝撃(1)一向に進展しない現状に活路

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070201/260393/?ST=network

加入者の純増が徐々に落ち込み,飽和状態となった携帯電話市場。モバイル市場にかつての盛況を取り戻そうと,総務省が動き始めた。

 その第一弾が,“携帯網の開放”によるMVNO(移動体通信事業者)の促進。総務省は早ければ今週にも「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用に関するガイドライン」(MVNO事業化ガイドライン)を改正し,大手3社の寡占状況にある携帯電話市場にメスを入れる。

データ通信系で活躍の兆し

 MVNOとは,携帯電話やPHSなどの移動体通信事業者から無線の設備を借り,独自ブランドでサービスを提供する事業者のこと。国内では,2001年10月に日本通信がウィルコム(当時のDDIポケット)のPHS網を利用したデータ通信サービス「bモバイル」で初めて参入した。

 その後,2002年から2003年にかけて,京セラコミュニケーションシステムや三菱電機情報ネットワーク,富士通,NTTコミュニケーションズ,ソネットエンタテインメント(当時のソニーコミュニケーションネットワーク),ニフティなどが続き,パケット通信の定額サービスや,企業ネット構築のオプション・サービスなどの付加価値を提供していた。

 MVNO事業に大きな伸びを期待できそうなのが,データ通信系サービス*1。音声通話市場は大手3社が商戦期ごとに新端末を投入し,デザインや機能面で熾烈な競争を展開している。資本力で圧倒的に劣るMVNOには,とても太刀打ちできない。

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2007年夏ごろに免許の割り当てを予定する2.5GHz帯の高速無線ブロードバンドはMVNOの展開が前提となっている。

 これに対してデータ通信系であれば,音声通話に比べてあまり競争が進んでいないこともあり,MVNOが新たな付加価値を提案して参入するチャンスが十分にある。「国内の携帯電話端末の普及率(人口比)は現在75%程度だが,欧州には端末普及率が100%を超えている国もある。日本でもMVNOが活躍すれば,2台目,3台目の需要を期待できる」(アクセンチュア通信・ハイテク本部の武田智和エグゼクティブ・パートナー)。

参入したくても門前払い

 だが,現時点で無線設備の貸し出しに応じているのは,実質ウィルコムのみ。携帯電話事業者との組み合わせはごくわずかにとどまっている*1。MVNOが携帯電話事業者に無線設備の貸し出しを申し込んでも,周波数の不足や設備の未対応を理由に断られてしまうことが大半だったからだ(図1)。ここ2~3年,MVNOの参入はほとんど進展していない。

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トヨタ自動車の「G-BOOK」やセコムの「ココセコム」といったサービスが携帯電話事業者の無線設備を利用している。

図1 参入が進まない理由

MVNOが携帯電話事業者から設備を借りようとしても,周波数の不足などを理由に持ち出されると,交渉のテーブルに付くことさえ難しかった。


図2 MVNOの活性化に総務省が乗り出した

2002年6月に総務省がガイドラインを公表した直後は参入が相次いだが,ここ数年は目立った動きがなかった。だが,2006年以降,MVNOを取り巻く状況が急進展している。

[画像のクリックで拡大表示]

 そこで総務省は,MVNOへの網提供をかたくなに拒む携帯電話事業者に門戸を開かせるため,1年以上前から布石を打ってきた(図2)。2005年11月にテレコムサービス協会に働きかけ,MVNO参入を狙う企業の意見をまとめる業界団体「MVNO協議会」の設立を後押し。2006年9月に公開した競争ルールの刷新プログラム「新競争促進プログラム 2010」でMVNOを促進する方針を宣言した。その一方で,2回の意見募集を実施してMVNOのビジネスモデルや技術面の課題の洗い出しを進めた。そして,満を持してガイドラインの改正に踏み切った。

 改正ガイドラインは「MVNOの位置付けを電気通信事業法や電波法の枠組みで具体的に整理しただけに過ぎず,新たに規制したり,規制を緩和したりすることを意図したものではない」(総務省)。しかし,ガイドラインを注意深く読むと「大手携帯電話事業者に対する網開放の義務化に近い内容となっている」(業界関係者)。ある大手携帯電話事業者の幹部は「これはどう考えても規制だ」と怒りをあらわにする。

 明日は,新ガイドラインからその根拠を読み解く。

(榊原 康=日経コミュニケーション)  [2007/02/05]

         

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