ユニークでなければ、勝ち残れない (3)- ウィルコム 近義起副社長
【インタビュー】
ユニークでなければ、勝ち残れない - ウィルコム 近義起副社長
(3)
チャレンジを繰り返せ!
大川淳 2007/2/7
これら「ユニーク」な仕掛けや製品はどこから生み出されるのだろう。近氏は「デジタル機器のプランナーは、いろんな人が考えをめぐらせて、失敗してもまたチャレンジする。1回失敗してもそれほど深手にならなければ、チャレンジを繰り返せる、との土壌をつくっていくのが重要になる。いろんなことにトライできる枠組みがあればよい。さまざまな意見とアイデア、話があるからこそ、これをやりたいということになる」と話す。自由な発想の積み重ねが基礎にある。
PHS が98年以降、停滞期に入って以後、ウィルコムのユーザー数が目立って伸び始めたのは、音声定額制を開始したときからだ。PHSで用いられる「マイクロセル」方式は、基地局あたりのカバーできる範囲が小さいが、その代わりネットワークの容量が大きくなる。音声定額制は、基地局ごとのカバー可能範囲が大きな「マクロセル」方式を採る携帯電話には手を出しにくい領域といわれる。ところが、2006年11月に、ソフトバンクが、音声定額制を始めた。「ウィルコムはベースとして定額制を実行しているわけだが、始めてから2年経過した。我々のサービスがいいものであれば、真似されることになる。しかし、優位な点はある。(携帯電話と比べ)容量には圧倒的に差がある。この優位性は変わっていない」と自信は揺ぎない。
「競合」である携帯電話については次のようにみている。
「いまや、GSM(Global System for Mobile Communications)規格の端末が最も普及し、10億台以上が出回っている。世界中には、電話をみたこともない層が少なからずいる。市場で売られている端末は、単に通話ができるというようなものが実は多い。3G(第3世代)の携帯電話ばかりというような国は異常ともいえる。本来は、使いやすいことが基盤であり、ショートメッセージのメールが使えて、ディスプレイ画面は白黒の、コストの低い端末が一番多く売れている。ノキア、サムスンなど、世界市場で有力なメーカーも、そういうところから高い収益を上げている」
「一方、日本では、高速化、マルチメディア、あれもこれもと、高機能化が進んでいる。海外と日本で、一つ共通点があるとすれば、よりいっそう電波が端末に『染み込み』やすくしようという点あたりだろうか。そうすれば、基地局の数は減らすことができる。われわれのW-OAM(WILLCOM Optimized Adaptive Modulation)規格は、内外どちらのニーズにもマッチしているので、日本だけでなく、海外でもよく使われるようになるのではないかと思っている。日本の状況だけをみて、PHSの発展を考えてはいけない。世界のニーズを観察していかなければならない。あまりにも、世界の携帯電話と日本のそれは違う。日本の通信事業者の要求は、低機能のベクトルにはあわせにくくなっている。機器ベンダーは日本に本社があるとつらいかもしれない。世界市場で大規模なベンダーは3G、4Gを手がけてもいるが、何億台も売れているのは、ローエンドの端末だ」
2005年の携帯電話端末世界市場シェア(総務省)は、フィンランドのノキアが33.5%で首位。次いで米モトローラが18.8%、韓国サムスン電子の12.9%と続くが、日本メーカーは10社が束になっても、世界3強のうちの3位にすら及ばない。