携帯フィルタリング義務化で有害サイト基準明確化
2月から、未成年者が携帯電話を利用する際、フィルタリングサービスへの加入が原則的に義務付けられた。いわゆる「出会い系」など様々な有害サイトを携帯端末から閲覧できなくするもので、これまでは加入率も低かった。
http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20080319nt0c.htm
昨年12月、総務省はキャリアー各社に対し「未成年の利用者については、契約時にフィルタリングサービスの利用を原則とした形で親権者の意思確認を実施するように」と要請した。つまり、契約書で「不要」を選択しない限り、原則加入となったのだ。この要請に従って、携帯大手3社とPHSのウィルコムは、未成年者に向けた同サービスの原則導入を決めた。
背景には、いわゆる「出会い系」や「学校裏サイト」などによって、未成年者が犯罪に巻き込まれたり、いじめに遭うなどの被害が続出している事情がある。例えば昨年11月に青森県で起きた成人男性による女子高生殺害事件は、2人の接点が人気ゲームコミュニティーサイトの「モバゲータウン」<※1>ではと見る向きもあった。運営会社のDeNAでは、フィルタリングの対象にされてしまうことへの危機感を募らせた。
キャリアー各社のフィルタリングには「ホワイトリスト」と「ブラックリスト」方式の2種類がある。前者は、キャリアー各社の公式サイトしか見られなくなる一方、後者は、いわゆる一般サイトも含め、有害サイトだけを閲覧不能にする。したがってホワイトリスト方式では、モバゲータウンや携帯小説サイト、さらには中高生の個人ブログや学校運営サイトまで含め、一般サイトは全部見られなくなる。また、ブラックリスト方式では、それらのサイトが「出会い系」などと同様の有害サイトと判定されれば、見られなくなる。
現在のところ、NTTドコモとKDDIはホワイトリスト方式、ソフトバンクとウィルコムはブラックリスト方式を採用している。
過剰な閲覧規制に反論続出
フィルタリングの原則導入を前に、総務省が昨年12月に開催した第2回「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」では、DeNA代表取締役の南場智子氏も出席。同サービスの健全性と、犯罪予防の強化策を説明した。ここで「18歳未満のミニメール使用をユーザーの年齢差2歳までの送受信に限定する」「サイバーパトロール体制を、100人から300人に増員する」などの対策案が示された。だが、ユーザーの年齢は自己申告制なので業者側では確認できないなど、対策には限界がある。
しかし、若者を中心に会員数が800万人を超えるうえ、基本的に有害サイトとはいい難いモバゲータウンが、もしもフィルタリングで使えなくなれば、ユーザーが猛反発するのは必至だ。
最大の問題は、「何が有害サイトか」という客観的基準が存在しないことだ。このため、これまではキャリアー各社から業務を委託されたフィルタリング業者が、独自の基準に沿って有害か否かを判定してきた。これに対しては、「携帯を交換した後、自分自身のサイトが一切見られなくなり困った。自分や友達のサイトが悪質だと言われている気がして不快だ」(19歳女性)、などといった反対意見が数多く寄せられている(「魔法のiらんど」<※2>によるユーザーアンケートより)。
今年1月に開催された第3回「ネット有害情報検討会」では、ネット関連サービス業者などから、ホワイトリスト方式など厳しすぎる閲覧規制への反対意見が続出した。これを受けた総務省は、キャリアー各社による過剰な規制に歯止めをかける方針を固めた。今年4月ごろから原則として「ブラックリスト方式」の採用をキャリアー各社に要請する。これと並行して同検討会の中間報告などを参考に、有害サイトの判定基準を明確化していくと見られている。(ジャーナリスト・小林雅一/2008年2月23日発売「YOMIURI PC」2008年4月号から)
注1 1日当たり3億ページビューを超える、高校生中心の若年層向け携帯電話ゲームサイト兼ソーシャル・ネットワーキング・サービス。http://www.mbga.jp/
注2 携帯小説で中高生に人気のサイト。関連情報は153ページにあります。
(2008年3月19日 YOMIURI PC)