ウィルコムの未来は見えたか?「WILLCOM FORUM & EXPO 2008」詳細リポート
ウィルコムが、PHS技術に関連したイベント「WILLCOM FORUM & EXPO 2008」を、2008年5月27~28日の2日間にわたって、六本木の東京ミッドタウンで開催した。4月に発表されたインテルの「Atom」を搭載したUMPC「WILLCOM D4(型番:WS016SH)」やイベントの前日に発表された新しいスマートフォン「WILLCOM 03(型番:WS020SH)」などの新製品がはじめて一般公開され、そのタッチ&トライイベントが催されたほか、実際に動作する超小型PHSモジュール「W-SIM」に対応したコンセプトモデルのデモ機や次世代PHSに対応したコンセプトモックなども多数展示されていた。さらに、高度化PHS「W-OAM type G」に対応した「W-SIM」のデモや各種ソリューションの展示、喜久川社長や土橋副社長、近副社長らによる講演なども行われ、見所の多いイベントであった。今回はそれらのうち主に展示会場の内容を紹介しよう。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080602/1013802/?top
会場は昨年よりもかなり狭くなっていたが、中央には新機種「WILLCOM D4」と「WILLCOM 03」のタッチ&トライスペースが設けられており、2日目の午後には最大1時間待ちの大盛況となっていた(画像クリックで拡大)
注目は「W-OAM type G」に対応した“黒耳”な「W-SIM」
展示会場の目玉は、地味ながらアルテルブースに展示されていた高度化PHS「W-OAM type G」に対応した「W-SIM」だ。はじめてのW-SIMであるネットインデックス製「RX410IN」は、先端部の樹脂素材の部分が灰色であるため“灰耳”、W-OAMに対応したアルテル製「RX420AL」は赤色であるため“赤耳”、ネットインデックス製「RX420IN」は青色であるため“青耳”と呼ばれているが、このtype Gに対応したW-SIMは“黒耳”と呼ばれていた。
ちょうど隣に次世代PHS「WILLCOM CORE」に対応したW-SIMのコンセプトモックが展示されていたが、それは「ブラックカード」といったところだろう。
この黒耳なるW-SIMは、アルテルの親会社であるエイビットが開発するPHSチップ「AX30Pシリーズ」を搭載しており、64QAMまで対応する。4Xパケット通信にて64QAM利用時に最大256Kbpsという通信速度が実現され、基幹ネットワークであるバックボーンが光IP化されたところでは、最大400Kbpsまで引き上げられる。
デモでは、実際に最大で380Kbpsを出しており、製品化が期待されるもののひとつである。現在発売されているRX420INやRX420ALでは最大204Kbpsとなるが、実測では、電波状況の良いところでも4Xパケット通信で150~180Kbps程度、通常は80~100Kbps程度となっているので、通信速度が一気に倍増することになる。
もちろん、光IP化されているところがまだ少ないので、倍増まではいかないかもれいないが、それでも確実に高速化されるはずだ。現状のウィルコムのサービスにおいて一番のネックは通信速度であるため、参考展示ながら注目度は高く、発売に期待したいところだ。
説明員に製品化の目処を聞いたところ、「まだ製品化は決定していないが、今秋~年末くらいには製品化したい」との回答を得た。ちょうど7月開催予定の「ワイヤレスジャパン2008」にもエイビットおよびアルテルの展示があるので、その頃にはなんらかの具体的な話が出ているかもしれない。
また、アルテルの隣では、ネットインデックスが展示を行っており、こちらも興味深い内容だった。ネットインデックスでは、4Xパケット通信に対応したW-SIMを4枚同時利用して、16Xパケット通信を行うデモを行っていた。これにより、204Kbps×4回線で最大通信速度が約816Mbpsとなる。デモでも実際に600~700Kbps程度の速度が出ていた。
各W-SIMは独立して接続されており、Windows Vistaにより仮想的に束ねられている。Windowsでは、複数回線の同時利用は、Windows XPから対応しており、今でもUSBアダプタなどを4個使って同じことを行うのは可能だが、その場合、4回線分の料金を支払わなければならない。そのため、ウィルコムがこういった利用方法に対する新しい料金プランなどを打ち出してくれば、面白いサービスとなるだろう。