ハイエンドAtomノート選び 5つのポイント
前回の「低価格Atomノート選び 5つのポイント」とは一転、今回はエッジのきいたハイエンドモデルに注目する。オススメ3機種をピックアップするとともに、機種選びに欠かせない5つのポイント「持ち運びやすさ」「バッテリー駆動時間」「処理性能の高さ」「キーボードの打ちやすさ」「画面の見やすさ」をチェックしていこう。
http://ascii.jp/elem/000/000/169/169587/
KOHJINSHA SC
SC3KP06A
UMPC市場を牽引する工人舎が満を持して投入した、同社最小の「SC」シリーズ。従来の主力製品と同じ7インチワイド(1024×600ドット)の画面サイズを維持しながら、液晶まわりを中心に極限まで削ぎ落としたボディーは800gを切る。片手でラクに持てるので、タブレットとしても重宝する。録画も可能なワンセグを搭載。
今回試用したのはSCシリーズの中でもローエンドな「SC3KP06A」(以下、KOHJINSHA SC)。プラス1万円前後でBluetoothとGPS搭載モデルも選択できる。
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FMV-BIBLO LOOX U/B50
FMV-BIBLO LOOX U/B50
パワーアップした今度の「FMV-BIBLO LOOX U/B50」(以下、LOOX U/B50)。本体や画面サイズはこれまでと同等だが、軽量化や高解像度化が進み、一段と魅力が増している。従来モデルにはなかったBluetoothを標準搭載するとともに、キーボードは従来の5段配列から6段に増え、そのぶんキーピッチにゆとりができた。
オプションの大容量バッテリーで最大11.1時間の連続駆動が可能な点も心強い。BTOにより64GB SSDも選択可能。さらにウェブ限定の無線WANモジュール内蔵モデルも用意されている。
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WILLCOM D4 Ver.L WS016SH(B)P
WILLCOM D4 Ver.L WS016SH(B)P
新書サイズのCentrino Atomマシンに、大容量バッテリー標準搭載モデル「WILLCOM D4 Ver.L WS016SH(B)P」(以下、WILLCOM D4 Ver.L)が新登場。基本スペックは初代D4と同等だが、Officeを非搭載にすることで実質負担額は9万2000円から5万9300円と低価格になった(W-VALUE SELECT利用時※)。
初代「PSP」よりわずかに大きい程度のコンパクトなボディーでありながら、Vistaのフル機能が利用できる。内蔵のPHSを使い、ウィルコムのエリアで最大204kbpsのデータ通信と音声通話が可能なほか、オートフォーカス付き約198万画素カメラやワンセグを標準装備するなど、ほかのUMPCにはない魅力がある。
※WILLCOM D4の購入方法について
WILLCOM D4 Ver.Lの購入にはウィルコムのPHS通信の契約が必須となる。5万9300円というのは、24ヵ月契約を前提とした割引プラン「W-VALUE SELECT」を利用した場合の端末金額。これ以外にPHSの通信費が毎月かかるので注意が必要だ。例えば、新つなぎ放題(月額3880円)を利用した場合、24ヵ月のトータルコストは15万2420円となる。
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ハイエンドAtomの主なスペック
機種名 KOHJINSHA SC
(SC3KP06A) LOOX U/B50 WILLCOM D4 Ver.L
実売価格 8万9800円前後 12万9800円前後 5万9300円前後
※W-VALUE SELECT利用時
液晶ディスプレー 7インチワイド
(1024×600ドット) 5.6インチワイド
(1280×800ドット) 5インチワイド
(1024×600ドット)
バッテリー駆動時間 約3.2時間
(標準バッテリー、2セル) 約5.3時間
(標準バッテリー、2セル 約4.5時間
(大容量バッテリー、6セル)
CPU Atom Z520(1.33GHz) Atom Z530(1.6GHz) Atom Z520(1.33GHz)
チップセット
(グラフィックス) インテルUS15W
(GMA500)
メモリー 1GB(増設不可)
HDD 60GB 40GB
無線機能 IEEE 802.11b/g、
(オプション Bluetooth 2.1+EDR) IEEE 802.11a/b/g/n(Draft 2.0)、Bluetooth 2.1+EDR IEEE 802.11b/g、Bluetooth 2.0+EDR、PHS(W-OAM対応)
USB 2.0 2ポート 1ポート 1ポート(miniUSB)
対応メモリーカード SD、SDHC、MMC、MS、ExpressCard/34 SD、SDHC、CF microSD
サイズ
(W×D×H) 189×155×33mm
(最薄部25.4mm) 171×135×33mm
(最薄部26.5mm) 188×84×35.3mm
重量 約798g
(標準バッテリー装着時) 約565g
(標準バッテリー装着時) 約575g
(大容量バッテリー装着時)
OS Windows Vista Home Premium SP1
持ち運びやすさで選ぶ
左からKOHJINSHA SC、LOOX U/B50、WILLCOM D4 Ver.L。ACアダプターはどれもノートパソコンとしては小型のタイプ
ACアダプターを含めた携帯性の比較
機種名 KOHJINSHA SC LOOX U/B50 WILLCOM D4 Ver.L
本体重量
約798g
(標準バッテリー装着時) 約565g
(標準バッテリー装着時) 約575g
(大容量バッテリー装着時)
アダプター+コード
(実測値) 約218g 約260g 約212g
合計 約1016g 約825g 約787g
サイズ
(W×D×H) 189×155×33mm(最薄部25.4mm) 171×135×33mm(最薄部26.5mm) 188×84×35.3mm
最大体積
(参考値) 0.97リットル 0.76リットル 0.56リットル
ハイエンドなAtomノートはコンパクトなのがトレンドだ。サイズはおおむね300ページ程度のハードカバータイプの書籍と同じで、本体重量は500g台~800g前後というのがひとつの目安になる。ACアダプターや電源コード込みでも1kg程度におさまるので、どの機種を選んでも負担を感じずに持ち運べるだろう。
本体の軽さにこだわるなら文句なしでLOOX U/B50、コンパクトさ重視ならWILLCOM D4 Ver.Lで決まりだ。両機種にはストラップを取り付けるための穴もあり、落下の予防やオシャレもできる。
ただしWILLCOM D4 Ver.Lは小さ過ぎるあまり、手に持ったときのズッシリ感がもっとも強い。画面がむき出しなので、携行時は事実上ケースが必須になる点も知っておきたい。
今回の機種では一番フットプリントの大きいKOHJINSHA SC。とはいっても実際の大きさはシステム手帳と同じくらいしかなく、とてもコンパクトだ
KOHJINSHA SCはサイズの割に軽量で、ズッシリ感は意外にもWILLCOM D4 Ver.Lとほぼ同じだ。このあたりは、可能であれば購入前に実際に店頭でチェックすることをオススメする。
バッテリー駆動時間で選ぶ
バッテリー駆動時間の比較
機種名 KOHJINSHA SC LOOX U/B50 WILLCOM D4 Ver.L
ベンチマーク結果 約1.6時間
(標準) 約2.2時間
(標準) 約2.8時間
(大容量)
公称時間
約3.2時間/
約6.4時間
(標準/大容量) 約5.3時間/
約11.1時間
(標準/大容量) 約4.5時間
(大容量)
バッテリー容量 7.4V、2600mAh/
7.4V、5200mAh
(標準/大容量) 7.2V、2900mAh/
7.2V、5800mAh
(標準/大容量) 7.4V 2880mAh
(大容量)
充電時間 約2.3時間/約3時間
(標準/大容量) 約4.2時間/約5.3時間
(標準/大容量) 約7時間
(大容量)
※「BBench」(作者:海人氏、フリーソフト)を使用し、1分おきにウェブ巡回、10秒間隔でキー操作をそれぞれ自動で行なった場合のバッテリー連続駆動時間を、無線LAN(LOOX U/B50はIEEE802.11n、それ以外はIEEE802.11g)環境で測定した。液晶輝度は最大。電源プランはVistaの「バランス」に設定した。
バッテリーに関しては、WILLCOM D4 Ver.Lのみ大容量タイプのものが標準で付属する。公称駆動時間ではLOOX U/B50が有利だったが、実際にバッテリー駆動時間を測定したところ、もっとも長く使えたのはWILLCOM D4 Ver.Lだった。マシンを1時間駆動するのにどれぐらいの電力が必要になるかというエネルギー効率(バッテリー容量÷駆動時間)でもWILLCOM D4 Ver.Lがトップだ。
ただし、LOOX U/B50、KOHJINSHA SCともにオプションの大容量バッテリー(それぞれ約1万3000円前後)が用意されているので、駆動時間を延長することは可能だ。
日々の運用で軽視できないのが充電時間。外出の準備に時間をかけたくない人は、短時間で充電できる割に長く使えるKOHJINSHA SCがいいだろう。
処理性能の高さで選ぶ
今回比較した3機種のスペックはほぼ横並びだ。実際に処理性能を測定したところCPUやHDDの差がそのまま現れる結果となったが、皮膚感覚ではほとんど差がない。スコアの低いWILLCOM D4 Ver.Lでさえストレスなく動作するので、さほど神経質になる必要はないだろう。
ベンチマーク結果
機種名 KOHJINSHA SC LOOX U/B50 WILLCOM D4 Ver.L
PCMark05による
総合スコア 938 940 806
同CPUスコア 1138 1361 1116
同メモリースコア 1926 2187 1870
同HDDスコア 2639 2626 2261
同グラフィックス
スコア 211 219 224
起動時間 約52秒 約75秒 約86秒
このクラスのPCは、Atomの中でも比較的高価な機種向けに提供される「Z」シリーズを搭載している。安価な機種向けの「N」シリーズに比べCPUの放熱量がわずかに少ないのが特徴で、実際にCPUを回してみてもそれほど本体が熱くなることはない。放熱口を塞がないようにすれば安心して使える。
1世代前のUMPCが搭載する「C7-M ULV」や「Geode LX800」では「YouTube」や「ニコニコ動画」視聴時のコマ落ちが目立っていたが、Atom搭載機ではいずれの動画もスムーズに再生できる。さすがにHDモードの「eyeVio」は動画として成立しなかったが、Atomになってようやく動画をまともに楽しめるレベルになった。
3D描画性能や最低限1024×768ドットの解像度を必要とする「Google Earth」については、起動時に解像度不足の警告が表示される(KOHJINSHA SCとWILLCOM D4 Ver.Lの場合)ものの、実際にはどの機種でも支障なく楽しめる。「Second Life」はこのクラスのグラフィックチップ(GMA500)に未対応なので、起動そのものができなかった。
メモリーは1GB固定で、Vista Premiumが動作する最低限の動作環境しか備えていない。しかし、Google Earthなどのソフトを同時に10本以上起動しても動作が緩慢になることはなく、実にキビキビとしている。
OSの起動時間(電源投入後、デスクトップが表示されるまでの時間)にも実際には機種ごとの差がある。処理性能だけでなく扱いやすさも重視する場合は参考にしてほしい。
キーボードの打ちやすさで選ぶ
このクラスのキーボードでは、通常のノートパソコンと同等のストレスのないタッチタイプはかなり厳しいと覚悟した方がいい。その代わり、本体を携帯ゲーム機のように両手で持ち、立ったまま親指入力できるのが魅力だ。
「KOHJINSHA SC」。主要キーのピッチは約14.2mmだが、右側の記号キーはさらに狭い 「LOOX U/B50」。キーピッチは余裕があるが、配列は独特。マウス操作はヒンジ部分にある両脇のボタンで行なう 「WILLCOM D4 Ver.L」。基本は親指でポチポチと入力するスタイル
キーボードの比較
機種名 KOHJINSHA SC LOOX U/B50 WILLCOM D4 Ver.L
キー数 84 68 64
キーピッチ
(横/縦) 約14.2mm/約11mm 約15mm/約12mm 約12.2mm/約8mm
キーストローク 約1.5mm 約1.3mm 測定不能
キーサイズ
(横×縦) 約13×10mm 約14×11mm 約12×8mm
サイズ面で有利なのはLOOX U/B50とKOHJINSHA SC。QWERTY/JIS配列のパンタグラフ式キーボードを搭載し、キーピッチも15mm前後あるのでタッチタイプは可能だ。しかしピリオドやスラッシュ、アンダーバーなどの記号キーが小指の爪より小さく(KOHJINSHA SC)、変則的な配列を採用している(LOOX U/B50)ので、違和感なく入力できるようになるには相当の慣れが必要だ。キータッチの柔らかいLOOX U/B50より、クリック感のあるKOHJINSHA SCの方が、配列も素直で打ちやすい。
WILLCOM D4 Ver.Lはタッチの硬いメタルドームスイッチ式キーボード(電子辞書などと同じもの)を採用しているためタッチタイプは実用的でない。親指入力なら比較的快適に打てるだろう。
画面の見やすさで選ぶ
左からKOHJINSHA SC、LOOX U/B50、WILLCOM D4 Ver.L。LOOX U/B50は画面サイズは小さいものの、解像度は1280×800ドットと一般的なノートパソコンと同等だ
液晶そのものはどの機種も明るく、屋内でも屋外でも視認性は良好だが、LOOX U/B50のみやや黄色味を帯びている。
1世代前のUMPCは液晶の解像度が低くウェブ閲覧がしにくかったが、最新のAtomノートはどれも解像度1024×600ドット以上のディスプレーを搭載する。ニコニコ動画やmixi、Yahoo! JAPANなど、最近増えつつある横幅950ドット以上のウェブサイトを横スクロールなしで閲覧できる。より一覧性を追求するなら高解像度のLOOX U/B50にしよう。
液晶の見やすさと解像度
機種名 KOHJINSHA SC LOOX U/B50 WILLCOM D4 Ver.L
ディスプレーサイズ
(解像度) 7インチワイド
(1024×600ドット) 5.6インチワイド
(1280×800ドット) 5インチワイド
(1024×600ドット)
擬似高解像度化 可能
(1024×768ドット) - 可能
(1024×768ドット)
ディスプレーの光沢 光沢なし 光沢あり 光沢あり
このクラスのPCは解像度の割に画面サイズが5~7インチワイドと小さめなので、ズーム機能の有無が重要になる。いずれの機種もVistaの標準機能である「拡大鏡」を使えば任意の場所を拡大表示できるほか、KOHJINSHA SCは液晶側面のマルチファンクションボタンやショートカットキー(Fn+A、Z)ですばやくズームが可能で、使い勝手がいい。LOOX U/B50も液晶脇にあるズームボタンをタッチするだけで画面全体を3段階に拡大できる。
なおKOHJINSHA SCとWILLCOM D4 Ver.Lの実解像度は1024×600ドットだが、設定を変更すれば1024×768ドットまで拡張可能だ。縦600ドットに収まるよう表示するので、文字が押しつぶされたように見えるが、実用上は問題ないレベルだ。むしろウェブブラウザーなどでの一覧性は高くなるので、覚えておくと重宝する。
まとめ
今回取り上げたマシンは、価格帯も製品の傾向も異なるので、購入時には使い方や利用シーンをよく考えたい。例えば、スタミナや携帯性を重視するならWILLCOM D4 Ver.L、画面の大きさや文字入力のしやすさで選ぶならKOHJINSHA SC、両者のいいとこ取りをし、なおかつ一覧性の高さを求めるならLOOX U/B50という選択になるだろう。
工人舎
富士通WEB MART on ASCII
ウィルコム